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那須の中古住宅や別荘を見始めて、一週間ほど。
最初は、
「安くて広い家がある」
というだけで楽しかった。
そこから、
森がいい。
薪ストーブが欲しい。
ウッドデッキが欲しい。
犬が走れる庭が欲しい。
冬も住めるところがいい。
できれば仕事もしやすい家がいい。
……と、希望条件がどんどん増えていった。
当然ながら、
全部そろった家は、そう簡単には見つからない。
そこで私は、また別のことを考え始めた。
だったら、自分たちで作ればいいんじゃない?
完成した家を探すから、素材を探すへ
それまで見ていたのは、
基本的に「完成した家」だった。
この家は広い。
こっちは薪ストーブ付き。
この物件は庭が広い。
ここは標高がちょうどいい。
そんなふうに、
すでにある家の中から、
自分たちの条件に近いものを探していた。
でも、
どこかが良ければ、
どこかが惜しい。
家はいいけれど土地が狭い。
土地はいいけれど家が古い。
立地はいいけれど間取りが好きではない。
薪ストーブはあるけれど、
犬を走らせる庭がない。
……。
だったら、家を完成品として探す必要はないのでは?
そう思い始めた。
古い家が付いた土地を見るようになる
ここから私は、
古家付きの土地を見るようになった。
古い平屋。
使われていない家。
土地は広いけれど、
建物にはかなり手を入れなければならなそうな物件。
以前なら、
「家が古いな」
で候補から外していたと思う。
でもこの頃になると、
見方が変わっていた。
この家、直せる?
あるいは、
家は壊して、土地だけ使える?
という目で見る。
家そのものより、
土地の形。
広さ。
道路。
木の生え方。
日当たり。
そういうものを見るようになった。
直して住む? それとも建て替える?
古い家を見ると、
次の問題が出てくる。
直すのか。
壊すのか。
屋根。
床。
水回り。
断熱。
窓。
外壁。
ひとつずつ直していくと、
結局かなりお金がかかる。
だったら、
建て替えたほうが早いのでは?
と思う。
しかし新築は高い。
そこでまた考える。
もっと簡単な家なら?
もっと小さな家なら?
プレハブ的なものなら?
必要なところだけ業者に頼って、
自分たちでできるところをやれば?
……。
だんだん、
「家を買う話」から「家を作る話」へ変わってきた。
家って、全部業者に作ってもらわなくてもいい?
この頃の私は、
家というものは、
ハウスメーカーや工務店に頼んで、
完成品を引き渡してもらうものだと思っていた。
でも調べてみると、
世の中にはいろいろな作り方がある。
基礎だけ業者。
構造部分だけプロ。
内装はDIY。
設備だけ専門業者。
小さな家。
キットハウス。
プレハブ住宅。
ログハウス。
セルフビルド。
……。
選択肢、めちゃくちゃある。
それまで、
「中古か新築か」
くらいの二択で考えていたのに、
急に間が大量に出てきた。
夫、自分で作る話になると元気になる
そして、
こういう話になると、
夫が妙に乗り気になる。
家を見る。
土地を見る。
木を見る。
「ここ切ればいいんじゃない?」
「ここに小屋作れるよね」
「これくらいなら自分でできそう」
などと言い始める。
私は、
本当に?
と思う。
一方で、
自分たちで少しずつ手を入れて、
家を作っていく暮らしも、
ちょっと面白そうに思えてくる。
買って終わりではなく、
住みながら完成させていく。
それなら、
理想の家に近づけていける。
最初から完璧じゃなくてもいいのかもしれない
ここで、
考え方がまた少し変わった。
それまでは、
最初から、
広いLDK。
きれいなキッチン。
薪ストーブ。
大きな窓。
ウッドデッキ。
犬の庭。
全部そろった家が欲しかった。
でも、
最初から全部なくてもいいのでは?
まず、
雨風をしのげる。
寝られる。
仕事ができる。
水が出る。
トイレが使える。
それだけあれば、
あとは少しずつ作ればいい。
薪ストーブはあとから。
ウッドデッキもあとから。
庭もあとから。
小屋もあとから。
家は、完成してから住むものではなく、住みながら育ててもいい。
そんな発想が出てきた。
安い土地を見る目が危険になる
この発想を持つと、
土地を見るのが急に楽しくなる。
建物がなくてもいい。
古家でもいい。
広ければいい。
多少荒れていてもいい。
木が多くても、
むしろ面白い。
……。
数日前まで、
きれいな中古別荘を探していた人間とは思えない。
今度は、
「この土地に何を作れるか」
を考えている。
物件写真を見ながら、
頭の中で勝手に家を建て始める。
プレハブでもよくない?
さらに話は進む。
いきなり立派な家を建てなくても、
最初は小さな建物でいいのでは?
プレハブ。
小屋。
簡易住宅。
必要最低限の家。
そこに住みながら、
土地を整える。
庭を作る。
薪棚を作る。
必要なら、
あとから増築する。
……。
こうなると、
もう完全に別荘探しではない。
開拓である。
私が欲しいのは「完成された家」じゃないのかもしれない
ここで、
自分でも少し気づいた。
私は、
完璧な家を買いたいわけではないのかもしれない。
それより、
自分たちで好きに変えられる余白がある家や土地
に惹かれている。
壁の色を変える。
棚を作る。
庭を作る。
薪を積む。
木を植える。
デッキを作る。
犬が走る場所を作る。
少しずつ、
自分たちの暮らしに合わせていく。
そのほうが、
完成された別荘を買うより、
面白そうに思えてきた。
ただし、土地なら何でもいいわけではない
もちろん。
土地だけ買えば解決、
というわけではない。
水道。
下水。
電気。
道路。
建築できる土地なのか。
造成は必要か。
木を切れるのか。
そもそも、
家を建てるまでにいくらかかるのか。
考えることは、
むしろ増える。
つまり私は、
完成した家を探すのが面倒になって、
もっと面倒な方向へ進んでいた。
我ながら、
非常に私らしい。
中古別荘探しから、「家づくり」に変わった日
この日を境に、
物件を見るときの目線が、
かなり変わった。
以前は、
「この家に住めるかな」
だった。
でも、
少しずつ、
「この場所に、自分たちの暮らしを作れるかな」
になった。
家が古くてもいい。
土地だけでもいい。
最初は小さな家でもいい。
必要なら直す。
作る。
増やす。
そう考えると、
選択肢が一気に広がった。
そして同時に、
迷走の範囲も一気に広がった。
中古住宅。
別荘。
賃貸。
古家。
土地。
建て替え。
プレハブ。
セルフビルド。
……。
もはや何を探しているのか、自分でもよく分からない。
でも。
少なくとも一つだけ、
はっきりしてきた。
私は、
家を買いたいというより、
自分たちの暮らしを作りたかったのだと思う。
そして次は、
その暮らしを作るための
「土地」
そのものを、
もっと細かく見るようになっていく。
森がいい。
でも冬は厳しすぎないほうがいい。
標高は?
水道は?
平坦地は?
何平方メートル欲しい?
家を作る話を始めたら、
今度は土地の条件まで、
どんどん細かくなっていった。
🌲🏠🔨



