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2026年8月9日。
このころになると、
私の物件探しは、
かなり変なところまで来ていた。
最初は、
普通に家を見ていた。
外観。
間取り。
リビング。
キッチン。
庭。
「この家かわいい!」
「薪ストーブある!」
「ウッドデッキいい!」
そんな、
普通の不動産探しだった。
ところが。
那須の別荘地を調べ続けていたら、
いつの間にか、
家より先に見るものができていた。
住所。
物件ページを開く。
写真を見る。
そして、
すぐ住所を見る。
「これ、どこ?」
もう、
そこからが本番だった。
「那須の○○別荘地」だけでは足りなくなった
最初は、
別荘地の名前で判断していた。
この別荘地、
管理が良さそう。
この別荘地、
標高がちょうどいい。
ここは、
除雪もある。
だったら、
このエリアの物件なら、
だいたい同じようなものだろう。
そんなふうに、
考えていた。
でも。
違った。
同じ別荘地の中でも、
区画によって、
全然違う。
平坦なところ。
急坂。
幹線道路の近く。
かなり奥。
南向き。
北向き。
森の中。
前が開けている。
道路より土地が高い。
逆に、
道路よりかなり低い。
同じ管理会社。
同じ別荘地名。
それなのに、
暮らしやすさは別物。
ここに気づいてから、
「○○別荘地だからOK」
ではなくなった。
まず住所を地図に入れる
気になる物件を見つける。
住所を見る。
地図を開く。
場所を確認する。
ここから、
延々始まる。
大きな道路から、
どれくらい入る?
途中に急坂はある?
曲がり角は?
道幅は?
行き止まり?
家は道路の上?
下?
周囲の家は?
森は?
南側は開けてる?
ひとつの物件を見るだけで、
家より地図を見ている時間のほうが長い。
もう、
不動産サイトは、
地図へ行くための入口みたいになっていた。
ストリートビューで道路を歩く
次に、
道路。
これが、
かなり重要になった。
航空写真で見たら、
道路はある。
でも、
実際どんな道なのか。
そこで、
ストリートビュー。
物件の近くから、
ひたすら道路をたどる。
ここは広い。
ここから狭くなる。
あ、
坂。
さらに坂。
急に森。
このカーブ、
冬怖そう。
ここ、
対向車来たらどうする?
私は運転しないのに、
道路の曲率まで気にし始めている。
完全に、
夫の運転シミュレーションを、
勝手にやっている。
「静かな行き止まり」が好き。でも……
私は、
通り抜け道路より、
行き止まり側が好きだった。
車が少ない。
人も通らない。
静か。
家の前を、
知らない車がどんどん通ることもない。
理想の、
「ポツン感」が出る。
だから、
地図で道の終わりにある区画を見ると、
けっこうテンションが上がる。
でも、
冬のことを考え始めると、
また疑問。
除雪車、
ここまで来る?
Uターンできる?
大型の宅配車は?
工事車両は?
救急車は?
**静かすぎる場所には、
静かすぎる理由もある。**
土地探し、
何を見ても、
一度喜んで、
そのあと疑う。
「道路からそのまま入れる」が強い
いろんな区画を見ているうちに、
私は、
かなり地味な条件を、
高く評価するようになった。
道路から、そのまま車で入れる。
これ。
当たり前に見える。
でも、
山の別荘地だと、
意外と当たり前ではない。
道路から階段。
道路より家が高い。
急な進入路。
駐車場は下。
玄関は上。
そういう物件もある。
写真だと、
すごく素敵。
でも、
毎日の買い物袋。
犬。
雨。
雪。
将来。
考えると、
フラットに入れる強さが、
どんどん増していく。
豪華なリビングより、
道路から平らに入れる。
とうとう、
そんなところまで来た。
家は変えられる。でも土地は変えにくい
このころ、
よく思うようになった。
家は、
ある程度、
変えられる。
壁紙。
床。
キッチン。
浴室。
間取りも、
場合によっては変えられる。
古家なら、
DIYもできる。
でも。
土地の場所は、
変えられない。
道路も、
簡単には変えられない。
急坂も、
隣家の位置も、
方角も、
地形も。
だから、
建物が多少微妙でも、
区画がいいなら、
候補になる。
逆に、
家がどれだけ素敵でも、
場所が厳しいなら、
難しい。
私は、
とうとう、
「家より土地」
どころか、
「土地より区画」
を見るようになっていた。
住所から標高まで調べる
さらに。
住所が分かれば、
標高も調べる。
標高700m。
お。
いいかも。
950m。
夏は最高そう。
でも冬は?
500m。
暮らしやすそう。
でも夏は?
地図。
標高。
道路。
方角。
全部、
つながってくる。
以前なら、
「那須高原だから涼しい」
で済んでいた。
今は、
「この番地、何メートル?」
になる。
人間、
短期間でずいぶん細かくなれる。
隣の区画まで見るようになる
さらに、
自分の土地だけではなく、
隣も見る。
隣家は近い?
空き地?
森?
その向こうは?
もし、
南側が空き地だったら、
今は眺望が良くても、
将来家が建つかもしれない。
森なら、
誰の土地?
伐採される可能性は?
北側に家があるくらいなら、
それほど気にならない。
でも、
南側に高い建物が建ったら?
そんなことまで、
考えるようになった。
まだ買っていない。
なのに、
隣の未来まで心配している。
「住所非公開」がつらくなる
物件情報には、
詳しい住所が載っていないこともある。
○○町。
○○別荘地内。
ここまで。
以前なら、
気にしなかった。
今は、
困る。
どの区画なの!?
知りたい。
ものすごく知りたい。
道路が分からない。
標高も正確に見られない。
周囲も分からない。
完全に、
住所が物件情報の重要スペックになっていた。
間取り図より、
番地。
そんな日が来るとは思わなかった。
別荘地探しが「区画ハンティング」になった
こうして、
私の別荘地探しは、
少し変わった。
「那須で素敵な家を探す」
ではない。
「この別荘地の中で、
暮らしやすい一点を探す」
になった。
管理がいい別荘地。
その中でも、
標高がちょうどいい。
道路が緩い。
進入しやすい。
ある程度平坦。
前が開けている。
後ろに木がある。
隣家が近すぎない。
でも、
孤立しすぎない。
除雪も来そう。
そんな区画。
別荘地の中の当たり区画を探す。
完全に、
区画ハンティングである。
物件価格が安い理由も、場所を見ると分かることがある
物件サイトを見ていると、
同じ別荘地なのに、
妙に安い物件がある。
最初なら、
掘り出し物!
と思う。
でも、
住所を調べる。
地図を見る。
なるほど。
急坂。
道路のかなり奥。
敷地に高低差。
北向き。
そういうこともある。
もちろん、
安い理由は一つではない。
でも、
値段には土地の事情が隠れていることがある。
家の写真だけでは、
見えない。
地図まで見ると、
ちょっと分かる。
不動産、
奥が深い。
逆に「普通の家」が急に良く見える
そして逆もある。
建物は、
普通。
ものすごくオシャレでもない。
ログハウスでもない。
映える薪ストーブもない。
でも。
道路が広い。
敷地が平坦。
南側が開けている。
駐車しやすい。
森もある。
幹線道路にも出やすい。
すると、
急に、
「これ、めっちゃいい物件では?」
となる。
以前なら、
写真でスルーしていたかもしれない。
見る目が、
完全に変わった。
「いい別荘地」ではなく「いい場所」を探す
この日、
いろんな別荘地を見比べて、
最後に思った。
別荘地の名前は、
もちろん大事。
管理会社。
管理費。
除雪。
水道。
ゴミ。
それも、
全部大事。
でも、
最後に暮らすのは、
別荘地全体ではない。
その一軒、その一区画。
自分の家から、
道路へ出る。
庭を見る。
犬を出す。
鳥を見る。
買い物へ行く。
毎日使うのは、
自分の家の周り、
数十メートル。
だから、
最後は、
そこを見るしかない。
8月9日、私は家を見なくなっていた
もちろん、
家も見る。
でも。
気になる物件を見つけたとき、
最初に思うことが、
変わった。
以前。
「この家、かわいい!」
今。
「住所どこ?」
かわいげがない。
でも、
たぶん、
土地探しとしては、
少し成長した。
那須の別荘地を見始めたころ、
私は、
森の中の素敵な家を探していた。
8月9日。
気づけば探していたのは、
一年中、無理なく暮らせる一点。
家探しは、
いつの間にか、
区画探しになっていた。
そして私は、
今日もまた、
物件写真を閉じて、
地図を開く。
**別荘地探し、
完全に区画ハンティングになった。**



