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Season 0|移住準備編Episode 01

那須に移住したら、どうやって暮らす? 家探しから生活設計を考え始めた

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那須の家を見始めて、数日。

最初は単純だった。

広い家が安い。

森がある。

薪ストーブがある。

犬たちものびのび暮らせそう。

それだけで十分楽しかった。

でも。

「こんな家に住みたい」

と思うようになると、次に考えなければならないことが出てくる。

住んだあと、どう暮らすのか。

家は買って終わりではない。

その家で、毎日生活していかなければならない。

ようやく私は、

物件の先にある暮らしを考え始めた。


家より先に、生活が続かなければ意味がない

たとえば、

500万円の家を買ったとする。

あるいは、

1000万円の家を買ったとする。

家そのものは買えるかもしれない。

でも、

そこで生活していくには、

当然ながらお金がかかる。

食費。

光熱費。

固定資産税。

車。

家の修繕。

別荘地なら管理費。

薪ストーブを使うなら薪。

犬と猫の費用。

そして、

東京へ戻る交通費。

……。

家を買えるかどうかだけ考えていたらダメだった。


私の仕事は、場所を選ばない

ここで大きかったのが、

私は文章を書く仕事をしているということだった。

パソコンとネット環境があれば、

基本的にはどこでも仕事ができる。

東京のオフィスへ毎日通う必要はない。

那須でも書ける。

山の中でも書ける。

薪ストーブの前でも書ける。

むしろ、

それ最高なのでは?

と思う。

朝起きて、

犬を外に出して、

コーヒーを淹れて、

森を見ながら仕事をする。

昼になったら少し庭へ出る。

夕方になったら薪を運ぶ。

夜はまた原稿を書く。

……。

完全に妄想が始まっている。


でも、収入まで山暮らしにはしてくれない

ただし。

場所を選ばず仕事ができることと、

収入が安定することは別問題である。

作家という仕事は、

毎月同じ金額が入ってくるわけではない。

本が売れれば増える。

売れなければ減る。

仕事量によっても変わる。

つまり、

「地方は家が安いから大丈夫」だけでは危ない。

生活費がいくらになるのか。

家に毎年いくらかかるのか。

最低いくら稼げば安心なのか。

そこを考えなければならない。

私はだんだん、

物件サイトと電卓を同時に開く人になっていった。


地方に行けば生活費は安くなる?

最初は、

東京を離れれば生活費も安くなる。

そんなイメージがあった。

確かに、

家そのものは安い。

土地も広い。

でも、

地方だから何もかも安いわけではない。

車が必要なら、

車両代。

保険。

ガソリン。

車検。

タイヤ。

冬ならスタッドレス。

家が広くなれば、

暖房費も増えるかもしれない。

古い家なら、

修繕費もかかる。

庭が広ければ、

今度は庭を維持する道具がいる。

安い家を買ったら、別のところからお金が生えてくる。

世の中、よくできている。


「広い家」は、広いぶん維持する

那須の物件を見ていると、

東京では考えられないくらい広い家が出てくる。

100平方メートル。

150平方メートル。

それ以上。

最初は、

広い!最高!

と思う。

でもよく考えれば、

広い家は、

掃除する場所も広い。

暖める場所も広い。

屋根も広い。

外壁も広い。

壊れたとき直す面積も広い。

庭が1000平方メートルあれば、

1000平方メートル分、

何かが生えてくる。

主に草である。

土地は黙っていても草を育てる。

頼んでいないのに。


だったら、家にお金をかけすぎないほうがいい?

ここで、

また考え方が少し変わった。

最初は、

せっかく移住するなら、

なるべく理想に近い家を買いたいと思っていた。

でも。

家に全部のお金を使ってしまったら、

暮らしが苦しくなる。

家具も欲しい。

薪ストーブも欲しい。

庭も作りたい。

犬のスペースも欲しい。

場合によってはリフォームも必要。

だったら、

家そのものは少し安く買って、

暮らしを作るほうにお金を残したほうがいいのでは?

と思い始めた。

この発想は、

後になって何度も出てくることになる。


「住むだけ」ではなく、そこで何ができる?

そして私は、

もう一つ考え始めた。

せっかく広い家や土地があるなら、

住むだけではなく、

何かに使えないだろうか。

仕事場にする。

撮影に使う。

人を泊める。

何かを育てる。

商品を作る。

その頃はまだ、

今のような具体的な形にはなっていなかった。

でも、

家そのものが生活費を生む場所になったら面白い

という発想は、

少しずつ出てきていた。

東京では、

家は基本的に

「住むところ」

だった。

でも地方の広い土地を見ていると、

家と庭を使って、

何かできそうに見えてくる。


森の家で、仕事をする

これはかなり魅力的だった。

私は元々、

家で仕事をする時間が長い。

なら、

住環境はそのまま仕事環境でもある。

窓の外が、

隣のマンションではなく森。

犬が庭にいる。

鳥が来る。

薪ストーブが燃えている。

そこで物語を書く。

……。

それ、めちゃくちゃいいのでは?

この頃から、

「移住する」というより、

「仕事場ごと暮らしを作り直す」

という感覚が少しずつ出てきた。


生活費を下げれば、働き方も変えられるかもしれない

そして、

家にかかる固定費が下がれば、

無理に収入を増やさなくてもいいのでは?

という考えも出てくる。

東京で高い住居費を払い続ける暮らしと、

地方で安い家を持つ暮らし。

必要なお金が違えば、

必要な働き方も変わる。

もっと書く。

もっと稼ぐ。

もっと仕事を増やす。

だけではなく、

必要なお金そのものを減らす

という方法もある。

これは、

私にとってかなり新鮮な考えだった。


「移住先」ではなく、「暮らしの仕組み」を探し始めた

この頃になると、

私が探していたものは、

単なる住所ではなくなっていた。

那須に住むのか。

別の土地に住むのか。

それはまだ決まっていない。

でも、

どういう家なら仕事がしやすいか。

どれくらいの生活費なら安心か。

家にいくらかけるか。

土地を何に使うか。

どうやって収入を作るか。

そういうことを、

少しずつ考えるようになっていた。

つまり、

「どこに住む?」から「どう暮らす?」へ。

移住の話が、

家探しだけではなくなってきた。


そして、家の見方がまた変わる

ここまで考えると、

物件を見る目もまた変わる。

豪華かどうか。

新しいかどうか。

だけではない。

仕事部屋を作れるか。

庭は使えるか。

倉庫はあるか。

車は置けるか。

人を呼べるか。

何か作れるか。

将来、

別の使い方ができるか。

家が、

単なる住居ではなく、暮らしの土台

に見えるようになった。


もちろん、翌日にはまた家そのものをいじり始める

こうして私は、

かなり真面目に、

生活費や仕事について考えた。

家を買うなら、

その先まで考えなければいけない。

そう学んだ。

……はずだった。

ところが翌日。

私は今度は、

「古い家を安く買って、建て替えればいいのでは?」

などと言い始める。

さらに、

プレハブ。

土地。

間取り。

家の大きさ。

話はまた、

建物のほうへ戻っていく。

せっかく生活全体を考え始めたのに。

移住計画というものは、なかなか一直線には進まない。

🌲🏠🔥