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Season 0|移住準備編Episode 01

那須の別荘、なんでこんなに安いの? 物件を見続けて価格がわからなくなった

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前日、那須の森の中に建つ家を見つけてしまった。

広いLDK。

大きな窓。

ウッドデッキ。

そして薪ストーブ。

「こんな暮らしもありかもしれない」

と思った私は、当然のように翌日も那須の物件を見ていた。

一軒見れば終わるわけがない。

むしろ一軒見たことで、

「ほかにはどんな家があるんだ?」

という新しい扉が開いてしまった。


那須、家がいっぱい出てくる

検索すると、出てくる出てくる。

森の中の家。

ログハウス風の家。

庭の広い家。

ウッドデッキ付き。

吹き抜け。

薪ストーブ。

東京でこういう家を探そうとしたら、そもそも「どこに建てるの?」から始まりそうなものが、那須では普通に売りに出ている。

しかも土地付き。

それも、ちょっとした庭というレベルではない。

家の周囲に木が生えていて、

敷地そのものが森みたいな物件まである。

私はすっかり夢中になった。


……ところで、なんでこんなに安いの?

そして、気になるのはやっぱり価格だった。

数百万円台。

1000万円前後。

東京のマンション価格に慣れていた私には、

「え、この値段で土地と家が両方ついてくるの?」

という世界である。

もちろん築年数はそれなり。

設備も新築同様というわけではない。

それでも、

家がある。

庭がある。

森がある。

場所によっては薪ストーブまである。

東京だったら土地だけでもどうなるんだ、という感覚なので、

物件価格を見ているだけで妙に楽しい。


でも、今度は4000万円の家も出てくる

ところが。

那須の物件を見続けていると、別の疑問が湧いてきた。

安い家ばかりではない。

2000万円。

3000万円。

4000万円。

普通に出てくる。

……あれ?

那須って安いんじゃなかったの?

さっきまで数百万円の家を見ていたのに、突然その何倍もの値段の別荘が出てくる。

しかも、どちらも同じ「那須」。

私はだんだん分からなくなってきた。


同じ那須でも、値段が全然違う

よく見ていくと、当然ながら違いはある。

新しい家。

きれいにリフォームされた家。

土地が広い家。

立地のいい家。

別荘らしいデザインの家。

設備が充実している家。

管理された別荘地の中にある家。

一方で、安い物件は、

築年数が古かったり、

かなり手を入れる必要がありそうだったり、

アクセスや冬の暮らしに不安がありそうだったりする。

当たり前といえば当たり前なのだけれど、

この頃の私はまだ、

「地方の中古住宅は安い」

くらいのざっくりした認識しかなかった。

そこから初めて、

同じ地域でも、家によって値段がものすごく違う

という、ごく基本的なことを実感し始めた。


それでも「私にも買えるかも」と思ってしまう

ただ、ここが危ないところである。

4000万円の家を見たあとに、900万円前後の家を見る。

すると、

安く見える。

500万円台なんて出てきた日には、

「これなら買えるのでは?」

と思ってしまう。

いや、待て。

500万円は普通に大金である。

昨日までなら、そんな金額を気軽に考えることはなかったはずだ。

なのに物件サイトを見続けていると、

価格の基準がどんどん変わってくる。

東京で何千万円、場合によっては億のマンションを見慣れている。

そこへ突然、

土地付き一戸建て500万円。

脳がバグる。

安い。

……いや、安くない。

でも安く見える。

不動産サイトというものは恐ろしい。


海の近くとは、少し違って見えた

それまで私は、海の近くの暮らしにもかなり惹かれていた。

房総。

伊豆。

海が見える家。

それもすごく魅力的だった。

でも那須の物件を見ていると、

同じ予算でも、

「家+広い土地+森」

まで手に入りそうに見える。

犬たちを走らせる庭が作れそう。

少し畑もできそう。

隣の家とも距離が取れそう。

薪ストーブだって置ける。

まだ何も決まっていないのに、

暮らしの妄想だけはどんどん具体的になっていった。


「安いから」だけではなくなってきた

最初に那須を見た理由は、かなり単純だった。

家が広くて、安かったから。

でも、一日中物件を見ているうちに、

だんだんそれだけではなくなってきた。

森の中に家がある。

窓の外に木が見える。

ウッドデッキに出られる。

犬が走れる。

冬は薪ストーブを焚く。

そういう暮らしそのものが、

少しずつ魅力的に見え始めていた。

「那須だから住みたい」

というところまでは、まだ行っていない。

でも、

「こういう場所で暮らすのもいいな」

という気持ちは、確実に芽を出していた。


そして、もう一つの疑問が生まれる

ただ。

物件を見れば見るほど、気になる表示も増えていった。

管理費。

水道費。

温泉。

別荘地。

管理事務所。

普通の中古住宅を見ていたときには、あまり意識していなかった言葉ばかりだ。

そして私は、ふと思った。

これ、家の値段だけ見てたらダメなんじゃない?

500万円の家は、

本当に500万円で持てるのか。

「温泉付き!」と喜んでいるけれど、

温泉って無料なのか。

管理費って何に払うんだ。

そもそも、

別荘地って何なんだ。

このあたりから、

私は「安い家を探す人」から、

別荘という謎の世界を調べる人

へ変わっていく。

そして翌日以降、

管理費、温泉権、冬の水抜き、凍結、別荘地の規約――

聞いたこともなかった言葉たちが、

次々と私の前に現れることになる。

まだ私は知らない。

家が安いからといって、話が簡単とは限らない。

那須沼は、

ここから少しずつ深くなっていった。