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Season 0|移住準備編Episode 01

移住するなら豊洲はどうする? 売る、貸す、それとも残す?

季節ごとに住む場所を変える。

夏は涼しい高原。
冬は暖かい地方。
春と秋は東京。

そんな暮らしを本気で考え始めた私は、前回、ひとつの地味な問題にぶつかった。

住所である。

住民票をどこに置くのか。
郵便物はどこで受け取るのか。
通販や犬猫用品はどうするのか。

家を持たなくても暮らせる。

でも、住所も拠点も何もかもなくして全国を渡り歩くとなると、途端に生活がややこしくなる。

そこで、ふと思った。

……いや。

うち、豊洲に家あるじゃん。

それまで私は、地方へ移住するなら豊洲をどう処分するか、と考えていた。

移住する。

つまり東京から引っ越す。

だったら、今住んでいるマンションはいらなくなる。

ものすごく単純に、そう思っていたのである。

まず思いつくのは、売ることだった。

マンションを売って、そのお金で地方に家を買う。

一番わかりやすい。

当時は全国の中古住宅や別荘を暇さえあれば見ていたので、

「豊洲を売ったら、この家買えるな」

「あ、こっちも買える」

という妄想はいくらでもできた。

東京のマンション一軒が、地方では土地付きの大きな家に化ける。

場合によっては、それでもお金が残る。

管理費も修繕積立金も固定資産税もなくなる。

移住という意味では、かなりすっきりしている。

ただ、一つ問題があった。

売ったら終わりである。

当たり前だ。

売った家に、

「やっぱり帰ってきました」

とはできない。

まして、この頃の私たちは移住先すら決められていない。

房総がいいと言ったかと思えば、伊豆を見て、海が怖くなったら高原へ行き、今度は全国を季節ごとに渡り歩こうとしている。

そんな状態で、先に東京の家を売ってしまっていいのだろうか。

では、売らずに貸したらどうだろう。

これはかなり魅力的に見えた。

家そのものは手元に残る。

毎月家賃も入ってくる。

その収入を地方での生活費や貸別荘代に充てればいい。

何もせず空けておくより、ずっと合理的に思える。

「これじゃない?」

と思った。

だが、すぐに気づいた。

人に貸したら、私たちは住めない。

東京に戻ってきたからといって、

「今週だけちょっと私も泊まりますね」

とはいかない。

当たり前である。

マンションは残る。

資産としても残る。

でも、私たちが自由に帰れる場所ではなくなる。

前回、季節移住について考えたことで、私はまさにその「帰れる場所」がある便利さに気づいたばかりだった。

住所を置ける。

郵便物が届く。

荷物を置いておける。

東京に用事があれば戻ってこられる。

移動生活に疲れたら、いったん帰って休める。

それなら。

売らない。

貸さない。

そのまま残す。

という選択肢もあるのではないか。

もちろん、お金はかかる。

住んでいなくても、マンションの維持費が消えるわけではない。

管理費もある。
修繕積立金もある。
固定資産税もある。

電気や水道だって、完全にゼロにはできないだろう。

誰も住んでいない家に毎月お金を払う。

そう考えると、もったいない気もする。

でも季節移住を前提にすると、豊洲は単なる「誰も住んでいない家」ではなくなる。

東京の拠点になる。

家財道具もある。

犬猫と一緒に戻れる。

郵便物を受け取れる。

荷物を置いておける。

そして何より、

「次の滞在先が決まるまで、どこに住もう」

という事態にならない。

今まで私は、豊洲のマンションを「今住んでいる家」としてしか見ていなかった。

だから地方へ移住したら、役目を終えるものだと思っていた。

でも見方を変えれば、

全国を動き回るための東京基地

にもなる。

すると、少し前までとはまったく違って見えてきた。

地方へ移住するなら、東京を捨てなければならない。

そんな決まりはどこにもない。

豊洲に家を残したまま、地方で暮らしたっていい。

一年の半分だけ別の土地にいてもいい。

二拠点でもいい。

三拠点でもいい。

少し前まで私は、

「どこに移住するか」

ばかり考えていた。

でも、この頃から少しずつ、

「どこに住むか」ではなく、

「どう暮らすか」

を考えるようになっていたのだと思う。

とはいえ、豊洲を残すと決めたわけではない。

売れば、まとまったお金になる。

貸せば、家賃収入になる。

残せば、東京の拠点になる。

……全部それぞれ良くない?

移住先すら決まっていない。

なのに今度は、今住んでいる家まで三択になった。

少し前まで、

「地方へ行ったら豊洲はどうしよう」

だったはずなのに。

気がつけば、

「そもそも豊洲、手放す必要ある?」

になっていた。

私の移住計画は、順調に迷走していた。

この記事のトピック

  • 前回、季節移住を考える中で、住所・郵便・荷物の問題に気づく。
  • そこで「東京に固定拠点があったほうが便利なのでは?」と思い始める。
  1. まずは「豊洲を売る」案を考える
    • 移住するなら今のマンションは不要になると思っていた。
    • 売ればまとまった資金になり、地方の家や新生活に回せる。
    • 管理費・修繕積立金・固定資産税などの負担もなくなる。
    • ただし、一度売ったら簡単には戻れない。
  2. 次に「貸す」案を考える
    • マンション自体は手元に残せる。
    • 家賃収入を地方生活の費用に充てられる。
    • 空室のまま維持費だけ払うより合理的に見える。
    • しかし、人に貸したら自分たちは自由に戻れない。
  3. 「売らない・貸さない・そのまま残す」という第三の案が出てくる
    • 誰も住んでいなくても、維持費はかかる。
    • 一見すると一番もったいない選択肢に見える。
    • でも、季節移住を前提にすると意味が変わってくる。
  4. 豊洲が「家」ではなく「東京の拠点」に見えてくる
    • 住所を置ける。
    • 郵便物を受け取れる。
    • 荷物を置いておける。
    • 東京に戻ったとき泊まれる。
    • 移動生活に疲れたときの帰る場所になる。
  5. 地方へ行くために東京を捨てる必要はないと気づく
    • それまでは「豊洲を出て地方へ行く」という二者択一で考えていた。
    • でも「豊洲+地方」という暮らし方もできる。
    • 二拠点、三拠点、季節移住など、暮らし方の自由度が広がる。
  6. 「どこに住むか」から「どう暮らすか」へ問いが変わる
    • 移住先を一か所に決める発想が少しずつ崩れていく。
    • 家そのものより、暮らし方の組み合わせを考えるようになる。
  7. 結局、豊洲も三択になってさらに迷走する
    • 売る → お金になる。
    • 貸す → 家賃収入になる。
    • 残す → 東京拠点になる。
    • **「……全部それぞれ良くない?」**状態になる。
  8. 「豊洲をどう処分する?」から「豊洲を手放す必要ある?」へ
    • 移住を考えたことで、今住んでいる家の価値を逆に見直すことになる。
    • 移住先すら決まっていないのに、今度は現在の家まで決められなくなる。