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Season 0|移住準備編Episode 01

全国を渡り歩きたい。ところで住所は?

季節ごとに住む場所を変える。

夏は涼しい高原。
冬は暖かい南のほう。
春と秋は東京。

そんな暮らしもできるのではないかと思い始めた私は、すっかりその気になっていた。

貸別荘やバケーションレンタルを数か月単位で借りれば、わざわざ家を買う必要はない。

犬猫をどうやって連れていくのか。
荷物はどうするのか。
キャンピングカーがあったほうがいいのか。
北海道や九州へ行くならフェリーはいくらかかるのか。

調べれば調べるほど、いろいろな問題が出てきた。

それでも、この時点ではまだ、

「まあ、大変ではあるけど、不可能ではないよね」

くらいに思っていた。

家を買うよりは身軽だし、何年か全国を渡り歩きながら、自分たちに合う場所を探せばいい。

そうすれば、いきなり知らない土地に何千万円も出して家を買って、

「思ってたんと違う」

となる危険もない。

むしろ合理的なのではないか。

私はだんだん、本気でそんなことを考え始めていた。

ところがあるとき、ふと思った。

……あれ?

私たち、住民票どこに置くんだ?

夏は長野に三か月。
秋は東京。
冬は宮崎。
春になったら、また別の場所へ。

人間は渡り歩ける。

犬猫も、頑張れば連れて歩ける。

荷物だって車に積める。

でも。

住民票まで季節ごとに一緒に移動するのだろうか。

いや、さすがにそれは面倒すぎる。

というか、そんな暮らしをしている人は住所をどうしているんだろう。

ここで私は、ようやく気づいた。

住民票は渡り鳥ではなかった。

家を持たなくても暮らせる。

でも、住所までなくしていいわけではないらしい。

そして一度「住所」というものを意識すると、今まで見えていなかったものが次々と目に入ってきた。

銀行。

クレジットカード。

保険。

税金。

行政から届く書類。

通販。

宅配便。

犬猫のフード。

猫砂。

日用品の定期便。

「あ、これも住所いる」

「あ、これもだ」

と、考えるたびに増えていく。

私の中ではすでに、

夏は爽やかな高原で犬と散歩をして、

冬は暖かい地方の貸別荘でのんびり暮らしている。

しかし現実世界では、その私を追いかけて郵便物が飛んでくる。

今月は長野です。
来月は宮崎です。
その次は東京です。

郵便物にそんな事情は関係ない。

Amazonだって知らんがな、である。

特に犬猫がいると、なおさらだった。

人間二人なら、極端な話、スーツケースひとつで移動することもできる。

しかし犬猫がいる。

フードがいる。
猫砂がいる。
トイレ用品がいる。
ペットシーツがいる。
薬やケア用品もいる。

前回、犬猫を連れて季節移住しようとして荷物の量に気づいたけれど、今度は別の意味で同じ問題にぶつかった。

犬猫と暮らしていると、生活そのものがちょっとした物流になる。

住所を変更するたびに通販サイトの配送先も変えるのか。

定期便はどうする。

古い住所に何か届いたらどうする。

重要な郵便物が届いたとき、私はその場所にいるのか。

考えれば考えるほど、

「家を持たない暮らしって自由!」

だけでは済まないことがわかってきた。

それまで私は、

家を所有しないこと=身軽になること

だと思っていた。

それ自体は、たぶん間違っていない。

でも、

家を持たないことと、拠点を持たないことは別なのではないか。

そんなことを考えるようになった。

毎日そこで暮らさなくてもいい。

一年中そこにいる必要もない。

ただ、自分たちの住所があって、郵便物が届いて、荷物を置いておけて、何かあったら戻れる場所。

そういう場所がひとつあるだけで、季節移住はかなり楽になるのではないか。

それまでの私は、

地方へ移住するなら、東京の家をどう処分するか。

そんなことばかり考えていた。

売るのか。

貸すのか。

いずれにしても、移住するなら東京の家はいらなくなる。

なんとなく、そう思っていた。

でも全国を渡り歩く生活を本気で想像してみたら、話が少し変わってきた。

住所。

郵便。

荷物。

東京での用事。

そして、移動に疲れたときに戻る場所。

……いや。

うち、豊洲に家あるじゃん。

地方へ移住するから、豊洲をどう処分するか。

ではなく。

豊洲を手放す必要、本当にある?

ここへきて、また新しい問題が発生した。

移住先すら決まっていないのに、今度は東京の家をどうするかまで考え始めることになったのである。

この記事のトピック

  • 夏は高原、冬は南国、春秋は東京。
  • 貸別荘やバケーションレンタルを使えば、家を買わずに全国を渡り歩けそうだと思っていた。
  1. 「ところで住民票はどこに置く?」と気づく
    • 数か月ごとに住む場所を変えるとしても、住民票まで毎回移すのは現実的ではない。
    • 「家を持たない暮らし」と「住所を持たない暮らし」は別なのでは?と思い始める。
    • 「住民票は渡り鳥ではなかった。」
  2. 住所が必要なものが想像以上に多いと気づく
    • 銀行、クレジットカード、保険、税金、行政からの書類など。
    • 一つ考えるたびに「あ、これも住所いる」と増えていく。
    • 普段は意識していなかった“住所の役割”が見えてくる。
  3. 郵便物や通販はどうする?という問題も出てくる
    • 数か月ごとに滞在先が変わったら、郵便物はどこで受け取るのか。
    • 通販サイトの配送先もそのたびに変更する?
    • 重要な郵便物が届いたとき、その場所に自分がいるとは限らない。
  4. 犬猫がいると、さらに“物流問題”が大きくなる
    • フード、猫砂、ペットシーツ、ケア用品など日常的に届くものが多い。
    • 人間二人だけなら身軽でも、犬猫との暮らしは大量の物資で成り立っている。
    • 「犬猫と暮らしていると、生活そのものがちょっとした物流になる。」
  5. 「家を持たない=自由」という考えが少し変わる
    • 家を所有しなくても暮らせる。
    • でも、固定拠点までなくす必要はないのでは?と思い始める。
    • 「定住しない」と「帰る場所がない」は同じではない。
  6. 固定拠点があることの便利さに気づく
    • 住所を置ける。
    • 郵便物を受け取れる。
    • 荷物を置いておける。
    • 移動に疲れたら戻れる場所にもなる。
    • 季節移住をするからこそ、固定拠点が必要なのかもしれないと思う。
  7. そこで豊洲の存在が急に浮上する
    • それまでは「地方へ移住するなら豊洲をどう処分するか」と考えていた。
    • でも自分たちには、すでに東京に固定拠点がある。
    • 「……いや、うち、豊洲に家あるじゃん。」
    • 「豊洲を手放す必要、本当にある?」という新しい疑問が生まれる。