本文へ移動
Season 0|移住準備編Episode 01

「サンルーム未登記」って何? 物件探しで謎の不動産用語に囲まれた

目次目次を閉じる

物件を見ていると、突然知らない言葉が出てくる。

未登記。

再建築不可。

接道。

私道負担。

地目。

原野。

山林。

非線引区域。

既存不適格。

増築未登記。

……待って。

私は家が欲しいだけなんだけど。

少し前まで、

「薪ストーブいいな」

「森の家に住みたい」

と言っていた。

それなのに、

気がつけば私は、

建築基準法だの登記だの、

人生でほとんど触れたことのなかった言葉を調べていた。

家探しというものは、

どうやら家の写真だけ見ていればいいものではないらしい。


「サンルーム未登記」って何?

中古住宅を見ていたとき、

物件説明に、

「サンルーム未登記」

のような記載が出てきた。

サンルームは分かる。

未登記も、

言葉としてはなんとなく分かる。

でも、

その二つをくっつけると急に怖い。

ざっくり言うと、

建物を増築したのに、その増えた部分が登記上の建物面積などに反映されていない状態。

登記簿には建物の種類・構造・床面積などが記録されるので、現況と登記内容が食い違っているということになる。

だから、

「部屋が一個多くてラッキー!」

ではなく、

売買するなら、

いつ増築したのか、適法に建てられたのか、登記をどう整理するのか

を確認する必要がある。

私はここで初めて、

家には

「写真に写っている家」と「登記上の家」

があることを知った。


「増築未登記」も同じ仲間

サンルームだけではない。

物置。

離れ。

増築した部屋。

そういったものが登記に反映されていない場合もある。

これが、

増築未登記。

つまり、

建物は実際には大きくなっているのに、

登記上は昔の広さのまま、

という状態。

法務省の資料でも、増築などによる床面積変更は建物表題部の変更として扱われる。

中古住宅では、

「建物面積○㎡」だけ見て終わりではない

らしい。

また見るところが増えた。


「再建築不可」――家があるのに建て直せない?

次に出てきたのが、

再建築不可。

最初に見たとき、

意味が分からなかった。

だって。

今、

家が建っている。

なのに、

建て直せない?

どういうこと?

代表的な理由のひとつが、

接道条件を満たしていないこと。

現在の建築基準法では、都市計画区域などでは原則として、敷地が幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接している必要がある。例外的に許可等で建築できるケースもあるけれど、単に「道があるからOK」ではない。

だから、

古い家は残っている。

でも、

一度壊したら同じように新築できない。

そんな物件が出てくる。

国交省も、接道義務を満たさないことなどを理由に「再建築不可」となる物件があると紹介している。

家がある=次の家も建てられる

ではなかった。

衝撃である。


「接道」――道に面していればいいんじゃないの?

そして、

再建築不可とセットでよく出てくるのが、

接道。

私は最初、

土地の前に道路があれば、

それで接道していると思っていた。

違った。

建築で問題になるのは、

建築基準法上の道路に、必要な長さだけ接しているか。

原則として、敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接している必要がある。

つまり、

写真に道が写っている。

車も通っている。

だから大丈夫。

とは限らない。

この頃から、

物件写真を見るたびに、

「この道、法的には何?」

と思う人になった。

嫌な成長である。


「私道負担」――道路なのに自分の土地?

次に、

私道負担。

道路なら、

市や県のものだと思っていた。

でも、

住宅地や別荘地には、

個人や複数の所有者が持っている私道もある。

「私道負担あり」という物件は、

敷地とは別に、

道路部分の土地を単独または共有で所有していたり、

売買対象面積の中に私道部分が含まれていたりすることがある。

大事なのは、

誰が所有しているのか、通行や掘削はできるのか、維持管理は誰が負担するのか

まで見ること。

私はここで、

道路というものにも、

所有者がいることを改めて知った。


「地目」――土地にもプロフィールがある

土地情報を見ると、

必ずといっていいほど出てくるのが、

地目。

宅地。

山林。

原野。

田。

畑。

土地が登記上、

どんな用途・状態の土地として扱われているかを示すもの。

ここで大事なのは、

見た目と地目が必ずしも同じとは限らない

ということだった。

写真では、

きれいな草地。

平ら。

普通に家が建ちそう。

なのに、

地目は「山林」。

最初は、

どこが山なんですか?

と思った。


「山林」――山そのもの、という意味ではない

法務局の説明では、

山林とは、

自然林・人工林を問わず、

耕作によらず竹木が生育する土地。

だから、

必ずしも急峻な山岳地帯という意味ではない。

那須の物件では、

比較的平らに見える土地でも、

地目が「山林」になっているものが普通に出てきた。

ここで私は、

地目:山林=崖の山

ではないと知った。


「原野」――RPGのフィールドではない

そして、

原野。

名前の響きが、

ものすごくワイルド。

草原。

荒野。

冒険が始まりそうである。

法務局の案内では、原野は、

耕作をやめた荒れ地や、低木などが生えている土地として説明されている。

つまり、

「誰も踏み入れたことのない大自然」

という意味ではない。

とはいえ、

原野と書かれた土地を見ると、

私は少し身構えるようになった。

これ、どこまで整備が必要?

という意味で。


「非線引区域」――線がないなら自由?

さらに、

都市計画の言葉まで出てくる。

非線引区域。

最初は、

線引きされていない。

つまり、

自由なのでは?

と思った。

もちろん、

そんな単純な話ではない。

都市計画では、区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることを「線引き」と呼ぶ。非線引都市計画区域は、この区域区分をしていない都市計画区域のこと。

ただし、

非線引=何でも建て放題

ではない。

用途地域の有無や建ぺい率・容積率、接道、自治体の条例、その土地固有の規制などは別途確認する必要がある。

不動産用語、

一個分かると、

その説明の中からまた三個知らない言葉が出てくる。

強い。


「既存不適格」――違法建築とは違う

そして、

既存不適格。

字面が怖い。

不適格。

何か悪いことをした家みたいに見える。

でも、

違反建築とは意味が違う。

既存不適格とは、

建てた当時の法律には適合していたけれど、その後の法改正や都市計画の変更などで、現在の基準には合わなくなった建物。

国交省も、当時適法だった建物が後の規制変更によって現行基準に合わなくなった状態を既存不適格として説明している。

だから、

存在しているだけで即違法、

という意味ではない。

ただし、

増改築や大規模な改修をするときに、

現行規定への適合が必要になる場合がある。

「不適格」という字面だけで逃げてはいけない。

これも勉強になった。


家より、備考欄を見るようになった

この頃から、

物件の見方が完全に変わった。

以前。

写真。

間取り。

庭。

薪ストーブ。

価格。

これで終わり。

でも今は、

写真を見たあと、

下へスクロールする。

備考。

接道。

地目。

都市計画。

私道。

未登記。

再建築。

文字を読む。

むしろ、

写真より備考欄のほうが怖い。

「素敵な森の家!」

より、

「再建築不可」

の五文字のほうが、

圧倒的に強い。


分からない言葉がある物件は、即NGではない

ただ、

ここで一つ大事だったのは、

知らない言葉が書いてあるからといって、

すぐ悪い物件とは限らないこと。

地目が山林だからダメ。

非線引区域だからダメ。

既存不適格だからダメ。

未登記だから絶対ダメ。

そういう単純な話ではない。

重要なのは、

その物件で、自分がやりたいことに何が影響するのか。

今住めるのか。

将来建て替えられるのか。

住宅ローンは使えるのか。

増築部分は整理できるのか。

工事はできるのか。

そこで初めて、

判断できる。

私はようやく、

「知らない言葉=怖い」から、「知らないなら確認する」

へ少しずつ変わっていった。


家を買うには、家以外の勉強が必要だった

物件探しを始める前、

私は家選びというものを、

もっと単純に考えていた。

好きな家を見つける。

値段を見る。

気に入ったら買う。

でも実際は、

道路。

登記。

都市計画。

土地の種類。

建築基準。

インフラ。

知らなければならないことが、

山ほどある。

しかも、

物件によって必要な知識が違う。

私は家が欲しいだけだった。

でも。

家を買うためには、

家以外のことを、

たくさん知らなければならなかった。


そして、この頃はまだ入口だった

この頃の私は、

「未登記サンルーム」

で、

???

となっていた。

接道。

私道負担。

山林。

原野。

非線引区域。

それだけでも、

ずいぶん不動産に詳しくなった気がしていた。

でも、

今振り返ると。

まだ全然、入口だった。

この先、

農振青地。

農地法。

農地転用。

用悪水路。

水道本管。

分筆。

そんな言葉まで、

普通に会話に出てくるようになる。

未来の私に言いたい。

安心しろ。もっと難しくなる。

🏠📚🌲