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2026年8月7日。
有楽町のふるさと回帰支援センターへ行った。
もともとの目的は、
パンフレットをもらうこと。
それだけだった。
ところが、
たまたま声をかけてくれた静岡の相談員さんと話しているうちに、
思いがけない話になった。
自治会である。
「自治会は半強制と思ったほうがいい」
田舎へ移住した場合、
自治会って、
どれくらい関わらないといけないんだろう。
そんな話になった。
すると相談員さんから、
こんな趣旨のことを言われた。
「半強制くらいに思っておいたほうがいい」
もちろん、
自治会への加入が法律で強制される、
という意味ではない。
地域によって事情も違う。
でも、
地方では、
災害。
大雪。
台風。
停電。
道路のトラブル。
そんなときに、
地域の人同士で助け合うことがある。
だから、
普段は地域とまったく関わらない。
でも困ったときだけ、
「助けてください」
というのでは、
うまくいかないこともある。
日頃から、
ある程度の付き合いが必要になる。
そんな話だった。
なるほど。
理屈は、
よく分かる。
そして私は思った。
やっぱり自治会あるのか。
私は田舎に住みたい。でも地域活動がしたいわけではない
このあたりは、
移住を考え始めたころから、
少し引っかかっていた。
私は、
自然のある場所に住みたい。
広い庭が欲しい。
犬を走らせたい。
鳥が来る庭を作りたい。
畑も少しやりたい。
できれば、
隣家との距離も欲しい。
でも、
地域活動へ積極的に参加したいか。
と言われると、
正直、
そうではない。
草刈り。
道路清掃。
行事。
役員。
回覧板。
集会。
そういうものが、
暮らしの中へたくさん入ってくるのは、
できれば避けたい。
田舎は好き。
でも、
濃い人間関係までセットで欲しいわけではない。
かなり都合のいい話である。
でも、
これが本音だった。
「田舎なら自由」という思い込み
それまで私は、
田舎へ行けば、
東京より自由になる、
というイメージを持っていた。
土地は広い。
隣家は遠い。
庭で好きなことができる。
犬も走れる。
薪ストーブも使える。
畑もできる。
でも、
土地の自由度と、
人間関係の自由度は、
同じではない。
土地が広くても、
地域との付き合いは濃いかもしれない。
逆に、
住宅が密集していなくても、
自治会活動はしっかり存在するかもしれない。
ここで初めて、
「田舎=自由」ではない
と、
少し現実的に考えるようになった。
そこで、別荘地が急に気になり始めた
それまで、
別荘地には、
少し抵抗があった。
管理費がかかる。
規約がある。
自由に使えないことがある。
普通の土地より、
面倒そう。
そんな印象。
だから、
できれば普通の土地を買って、
好きに暮らしたい。
と思っていた。
でも、
自治会の話を聞いたあと、
見方が変わった。
別荘地って、
もしかして、
管理費を払う代わりに、面倒なことをある程度外注できる場所なのでは?
管理費って、ただ取られるお金じゃない?
別荘地によって違うけれど、
管理費の中には、
道路管理。
除雪。
共用部分の管理。
ゴミ。
水道などのインフラ管理。
防犯。
環境整備。
そうしたものが含まれている場合がある。
もちろん、
内容は別荘地ごとに違う。
だから、
「管理費がある=全部やってもらえる」
わけではない。
でも、
それまで私は、
管理費を、
「土地を持っているだけで毎年取られるお金」
のように見ていた。
ところが、
自治会や地域管理の話を聞いたあとだと、
見え方が違った。
道路や除雪やゴミなど、
普通の集落なら、
地域の住民同士で担う部分を、
管理会社が担当している。
そう考えると、
管理費は、
ただの出費ではない。
人間関係や共同作業の一部を、お金で外注している
とも考えられる。
これは、
私にはかなり魅力的だった。
「自治会費」と「管理費」なら、私は管理費のほうが気が楽かもしれない
もちろん、
自治会にも意味がある。
地域のつながり。
防災。
高齢者の見守り。
道路や環境の維持。
田舎では、
必要な仕組みなのだと思う。
でも、
私の場合。
お金を払うことで、
やるべきことが明確になるほうが、
たぶん気が楽だった。
年間○万円。
その代わり、
道路を管理してくれる。
除雪してくれる。
ゴミの仕組みがある。
困ったときは管理事務所へ。
そういう関係。
一方、
地域の人との関係は、
数字では決まらない。
どこまで参加するのか。
何回出るのか。
役員は回ってくるのか。
草刈りは?
祭りは?
掃除は?
そのあたりが、
住んでみるまで分からない。
私には、
こっちのほうが怖かった。
別荘地=別荘を持つ人だけの場所、ではなかった
それまで、
別荘地というと、
週末だけ過ごす場所、
というイメージもあった。
でも調べてみると、
定住者がいる別荘地もたくさんある。
普通に一年中暮らしている人もいる。
スーパーへ行く。
仕事をする。
犬の散歩をする。
庭を作る。
つまり、
場所によっては、
「自然の中にある管理住宅地」
みたいなものでもある。
これなら、
私たちの希望にかなり近いのでは?
と思い始めた。
欲しいのは「インフラ付きポツン」だった
このころ、
私の理想を言葉にすると、
だんだんこうなっていった。
インフラ付きポツン。
完全な山奥ではない。
スーパーへ行くだけで、
往復2時間もかからない。
でも、
隣家とは少し離れている。
水道がある。
道路がある。
宅配便も来る。
できれば、
冬は除雪もされる。
そして、
自治会との関わりは薄め。
……。
かなり都合がいい。
でも、
別荘地なら、
この条件に近づける可能性がある。
普通の集落で、
ポツンとした家を探すより、
別荘地の外周区画。
行き止まり。
隣が未建築の区画。
保全林に接している土地。
そういう場所を探したほうが、
私の理想に近いかもしれない。
ただし、別荘地なら何でもいいわけではない
もちろん、
ここで、
「別荘地最高!」
と決めたわけではない。
別荘地にも、
問題はある。
管理費。
水道料金。
冬の道路。
傾斜地。
建築規制。
営業利用の制限。
民泊不可。
畑を作れない。
薪ストーブの条件。
フェンス。
樹木伐採。
外観ルール。
管理会社によっても、
かなり違う。
つまり、
自治会から逃げたら、
今度は、
管理規約
が出てくる。
人生、
完全自由な土地は、
なかなかない。
「自由」の意味が変わった
でも、
この日を境に、
私の中で、
自由な土地の定義が少し変わった。
それまでは、
規制が少ない土地=自由
だと思っていた。
でも、
暮らしを考えるなら、
それだけではない。
道路が整っている。
ゴミの仕組みがある。
除雪される。
困ったときに管理窓口がある。
地域との濃い付き合いをしなくても暮らせる。
そういう環境も、
私にとっては、
立派な自由だった。
何でも自分でやらなければならない自由より、
面倒な部分を誰かに任せられる自由。
こっちのほうが、
私には合っているのかもしれない。
そして、土地の広さまで変わり始めた
別荘地を見直し始めると、
もうひとつ、
変化が出てきた。
それまで私は、
3000㎡。
2000㎡。
と、
かなり広い土地を見ていた。
でも、
本当にそんなに必要?
と思い始めた。
家。
ドッグラン。
少しの畑。
果樹。
木。
それだけなら、
800㎡。
1000㎡。
1500㎡。
そのくらいでも、
十分では?
本格的な畑をやりたいなら、
農地を別に借りてもいい。
全部を自宅の敷地に、
詰め込む必要はない。
ここで、
土地探しの条件が、
また少し変わった。
広ければ広いほどいい、
から、
管理できる広さで、暮らしやすい場所。
へ。
パンフレットだけもらうつもりで行った、
ふるさと回帰支援センター。
そこで聞いた、
ほんの一言。
「自治会は半強制と思ったほうがいい」
それが、
まさか、
土地の探し方まで変えるとは思わなかった。
そして私は、
それまで脇役だった別荘地を、
もう一度、
真剣に見始めることになる。
普通の土地か。
別荘地か。
次に始まったのは、
「結局、どっちのほうが自由なの?」
という比較だった。



