目次目次を閉じる
那須で土地や家を探し始めてから、
私はずっと、
物件そのものを見ていた。
広さ。
値段。
標高。
接道。
水道。
傾斜。
森。
庭。
薪ストーブ。
ドッグラン。
家を建てるなら、
間取りまで考えた。
つまり、
土地と建物のことばかり考えていた。
でも。
あるとき、
ふと思った。
その家に住むってことは、
当然、
その地域で暮らす
ということでもある。
物件が良くても、それだけでは暮らせない
東京のマンション暮らしでは、
地域との関係を、
あまり強く意識しなくても生活できる。
ごみは決められた場所へ出す。
管理は管理会社。
共用部分の掃除も、
自分でするわけではない。
自治会に入らなくても、
日常生活が大きく変わることは少ない。
でも、
田舎へ移住したら?
同じなのか。
これは、
ちょっと分からない。
「自治会って、どのくらい関わるの?」
まず、
気になり始めたのが、
自治会。
移住について調べていると、
地域によっては、
自治会。
町内会。
区。
組。
班。
いろいろな呼び方が出てくる。
そして、
活動内容も、
地域によってかなり違うらしい。
清掃。
草刈り。
側溝掃除。
ごみ置き場の管理。
防災。
お祭り。
回覧板。
役員。
共同作業。
……。
いや。
何個あるの。
私は、地域活動が嫌いなわけではない
ここは、
少し誤解されたくないところ。
私は、
近所の人と挨拶するのが嫌なわけではない。
困ったときに、
助け合うことも必要だと思う。
道路沿いをみんなで掃除するとか、
防災訓練をするとか。
そういうものまで、
全部嫌!
というわけではない。
ただ。
生活の自由度がどのくらいあるのか
は知りたい。
問題は「どこまで必須なのか」
例えば、
年に一度の草刈り。
これは、
まあ分かる。
でも。
毎月何かある。
役員が頻繁に回ってくる。
行事に参加しないと気まずい。
欠席するとお金を取られる。
休日が地域活動で埋まる。
となると、
かなり話が違ってくる。
私は家で仕事をする。
締切もある。
生活時間も、
普通の会社員とは少し違う。
だから、
「地域活動があります」だけでは判断できない。
必要なのは、
頻度。
強制性。
雰囲気。
ここ。
ゴミ出し、意外と重要では?
そして、
自治会について調べていると、
なぜか必ず近くに出てくる話。
ゴミ。
これも、
都会にいると、
そこまで考えない。
でも地域によっては、
ごみ集積所の管理を、
自治会や住民グループがしていることがある。
そうなると、
どこへ出すのか。
何曜日なのか。
誰が掃除するのか。
自治会に入っていない場合はどうなるのか。
かなり重要。
「家の前にゴミ収集車が来る」とは限らない
田舎の物件を見ていると、
敷地が広い。
隣家が遠い。
集落の端。
山の近く。
こういう場所に惹かれる。
でも。
そういう場所ほど、
ごみ置き場まで遠い可能性もある。
徒歩数分。
場合によっては、
もっと遠い。
車で持っていく人もいるかもしれない。
私は運転しない。
ここ、
地味に大問題。
家から200mなら、
まだいい。
1kmあります。
坂です。
冬は凍ります。
となったら、
毎週のことなので、
かなりつらい。
「ポツン」が好き。でも、ポツンには代償がある
私は、
隣家が近すぎる場所より、
少し離れているほうが好き。
できれば、
集落の端。
家の裏は森。
正面は空が抜けている。
犬も走れる。
静か。
最高。
でも。
人家が少ないということは、
生活インフラも遠い可能性がある。
ごみ。
除雪。
宅配。
道路管理。
防犯。
バス。
タクシー。
全部、
「人が少ない」こととセットで考えないといけない。
自治会が強い場所、弱い場所
これは、
市町村単位では判断できないらしい。
同じ市でも、
地区によって全然違う。
さらに、
同じ地区でも、
集落によって違うこともある。
昔から住んでいる人が多い場所。
新しく移住者が増えている場所。
別荘地。
新興住宅地。
農村集落。
それぞれ、
空気が違う。
つまり、
「○○市は自治会が大変」
みたいに、
大きなくくりで決めるのは難しい。
ここは、
物件ごとに確認したほうがいい。
私が気にしたいのは「参加そのもの」より空気
ここで、
自分が何を警戒しているのか、
少し分かった。
私は、
年数回の作業が嫌なのではない。
嫌なのは、
断りにくい空気。
仕事より優先して当然。
参加しない人は変わり者。
新しく来た人はまずこれをやって。
そんな雰囲気が、
強い場所。
これは、
できれば避けたい。
逆に、緩い地域なら全然いい
例えば。
自治会はある。
でも、
参加できる人だけ。
ごみ当番は、
年に一度。
草刈りも、
都合が悪ければ相談できる。
移住者もいる。
新しく来た人だからといって、
過剰に役割を求めない。
これなら、
普通に暮らせそう。
私が欲しいのは、
地域との関係ゼロ
ではなく、
適度な距離。
「移住者歓迎」の中身も見たくなった
自治体のホームページを見ると、
よくある言葉。
移住者歓迎。
いい。
とてもいい。
でも。
ここで、
少し疑り深くなった。
歓迎って、
どのくらい歓迎なんだろう。
空き家を紹介してくれる。
移住相談に乗ってくれる。
補助金がある。
それはもちろん大事。
でも、
実際に住む地域の人たちが、
新しく来た人に慣れているか。
そこも、
かなり大事では?
移住者が多い地域は、ちょっと安心する
その点で、
移住者が一定数いる地域は、
私には少し安心感があった。
よそ者が珍しくない。
移住者向けの店がある。
カフェがある。
宿がある。
新しく商売を始めた人がいる。
そういう場所は、
人の出入りがある。
つまり、
新しい人が入ってくること自体に慣れている可能性がある。
これは、
かなり重要。
「田舎だから閉鎖的」と決めつけるのも違う
一方で、
都会だから自由。
田舎だから閉鎖的。
と、
単純に分けるのも違うと思う。
田舎でも、
移住者が多くて、
新しい店が次々できる場所もある。
古くからの集落でも、
外から来た人に親切な場所もある。
逆に、
別荘地でも、
独自ルールが多いところはあるかもしれない。
結局、
土地を見るのと同じように、地域も一つずつ見るしかない。
不動産屋に聞く質問が増えていく
この頃になると、
不動産会社へ問い合わせる内容が、
どんどん増えていった。
最初は、
「まだ売っていますか?」
くらいだった。
それが、
接道は?
水道は?
建築できますか?
傾斜は?
私道ですか?
さらに、
自治会はありますか?
地区の共同作業は?
ごみ置き場はどこですか?
除雪は?
……。
家一軒買うのに、質問が多すぎる。
ご近所も、できれば現地で見たい
ネットでは、
分からないことも多い。
家の隣に、
何があるか。
道を歩いている人。
庭の手入れ。
空き家の数。
生活感。
ごみ置き場の状態。
家と家の距離。
農作業している人。
地域の掲示板。
そういうもの。
これは、
ストリートビューだけでは限界がある。
現地へ行って、
少し歩くだけでも、
かなり印象が変わると思う。
私は「静か」と「孤立」の間を探している
物件探しをしていて、
だんだん分かってきた。
私は、
便利すぎる場所を求めているわけではない。
でも、
完全な孤立も嫌。
隣家は、
少し遠いほうがいい。
でも、
生活できる程度には人がいる。
森は欲しい。
でも、
道路はちゃんとしてほしい。
静かがいい。
でも、
宅配は来てほしい。
……。
要求が多い。
でも、
これが暮らし。
「人との距離」も、物件条件だった
私はずっと、
敷地面積。
標高。
建物。
価格。
そんなものを、
物件条件だと思っていた。
でも。
実際には、
人との距離感
も条件なのだと思う。
隣家との物理的な距離。
地域との心理的な距離。
自治会との関係。
ごみ置き場。
共同作業。
全部、
その家で暮らす毎日に関わる。
安い土地にも「暮らしのコスト」がある
土地が安い。
家も安い。
それだけで、
お得とは限らない。
水道工事。
道路。
除雪。
車。
草刈り。
管理。
そして、
地域との付き合い。
金額にできないものも含めて、
暮らしのコスト
がある。
物件価格だけでは、
見えない。
この頃、
私はようやく、
土地を見るときに、
「買えるか」ではなく、
「ここで毎日暮らせるか」
を考えるようになった。
これは「自治会が嫌」という話ではない
改めて言うと、
自治会そのものを、
悪者にしたいわけではない。
地域によっては、
災害。
除雪。
道路。
水路。
防犯。
高齢者の見守り。
いろいろなことを、
住民同士で支えている。
むしろ、
人が少ない場所ほど、
そういう仕組みが必要になることもあると思う。
だからこそ、
大事なのは、
自分たちがその仕組みと相性がいいか。
そこを、
住む前に知りたい。
物件を見るだけでは足りなくなった
ここまで来ると、
家探しが、
ますます複雑になる。
土地。
建物。
水道。
道路。
ハザード。
自治会。
ごみ。
地域。
そして、
人。
もう、
不動産サイトの写真だけでは、
全然足りない。
現地へ行く。
市役所へ聞く。
不動産屋へ聞く。
近所を見る。
生活を想像する。
やることが、
どんどん増える。
でも。
たぶん、
これは、
家探しが現実になってきた証拠でもあった。
「森に住みたい」から「暮らせる森を探す」へ
最初は、
ただ、
森が欲しかった。
木に囲まれたい。
鳥が来てほしい。
犬を走らせたい。
薪ストーブ。
静かな家。
でも、
今は少し違う。
欲しいのは、
ただの森ではない。
生活できる森。
水がある。
道がある。
ごみが出せる。
宅配が来る。
地域との距離もちょうどいい。
そして、
空が見える。
だったら、
最初から森になっている土地にこだわらなくても、
いいのでは?
平らで、
使いやすくて、
暮らしやすい土地を買って。
あとから木を植えて、森を作る。
そんな考え方も、
少しずつ出てきた。
次は、
「森の土地を探す」から「森を作る」へ。土地選びの考え方が変わった
という話へ続く。
🌲🏠🐕🗑️


