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那須で土地を探しながら、
私は家のことを考え続けていた。
最初は、
広い平屋。
大きなLDK。
薪ストーブ。
夫婦それぞれの仕事部屋。
ゲストルーム。
犬猫スペース。
収納。
庭へ直接出られる動線。
そんなものを、
全部一階に詰め込んでいた。
その結果。
だんだん、
家が大きくなった。
130㎡。
140㎡。
150㎡。
……。
そして、
ある日ふと思った。
これ、いくらするんだ?
「平屋=シンプルで安そう」だと思っていた
私はなんとなく、
平屋って、
構造が単純だから安いのでは?
と思っていた。
階段もない。
二階もない。
箱を一つ作るだけ。
シンプル。
だから、
そんなに高くない。
……。
と思っていた。
ところが調べていくと、
どうも単純ではない。
平屋は、基礎も屋根も広くなる
同じ延床面積なら、
二階建てより平屋のほうが、
地面に接する面積が広い。
つまり、
基礎が広い。
屋根も広い。
150㎡の家を、
全部一階に置けば、
150㎡分の基礎と、
それに近い大きさの屋根が必要になる。
一方。
例えば、
75㎡+75㎡の総2階なら、
地面に接する面積は、
おおむね半分。
屋根も、
平屋ほど大きくならない。
なるほど。
平屋、安いとは限らない。
土地が広いから、建物まで広くしなくてもいい
ここで、
少し前に考えていたことと、
つながった。
自宅。
ドッグラン。
庭。
森。
畑。
薪小屋。
宿泊棟。
私は、
敷地全体を使って暮らしたい。
だったら、
家そのものまで、
150㎡の巨大平屋にしなくてもいいのでは?
外に出れば、
何千㎡もあるかもしれない。
なのに、
室内だけを、
どんどん大きくする必要があるのか。
少し、
疑問が出てきた。
じゃあ、総2階にしたらどうなる?
そこで、
今度は逆方向。
総2階。
一階と二階を、
ほぼ同じ形に重ねる。
凹凸を減らす。
屋根も、
なるべく単純。
家の形を、
大きな箱に近づける。
これなら、
比較的コストを抑えやすいのでは?
と思い始めた。
そして、
また間取りを考え直した。
一階は「みんなで使う場所」
まず、
一階。
ここは、
共有空間を中心にする。
大きなLDK。
キッチン。
パントリー。
浴室。
洗面。
トイレ。
そして、
ゲストルーム。
さらに、
犬が庭へ直接出られる場所。
薪ストーブも、
一階。
つまり、
暮らしの中心は全部一階。
ここは、
平屋案とあまり変えない。
二階に「夫婦それぞれの個室」を上げる
そして、
二階。
ここへ、
私の仕事部屋。
夫の部屋。
寝室。
ウォークインクローゼット。
トイレ。
などを持っていく。
すると、
一階がかなりすっきりする。
特に、
夫婦それぞれの仕事部屋を上へ移せるのは大きい。
私は、
家で書く。
夫も、
家にいる時間が長い。
だから、
夫婦それぞれの逃げ場は必要。
これは削りたくない。
だったら、
上に置けばいい。
150㎡でも、総2階なら「巨大な平屋」感がなくなる
例えば、
延床150㎡。
平屋なら、
地面の上に150㎡。
かなり大きい。
でも、
総2階なら、
一階75㎡。
二階75㎡。
それでも、
各階約22〜23坪。
一階にLDKと水回りをまとめて、
二階に個室を並べれば、
かなり普通に暮らせそう。
数字だけで見ると、
急に現実的になる。
延床面積は同じなのに、建物の巨大感が全然違う。
「平屋じゃないと嫌」ではなかった
ここで、
自分でも気づいたことがある。
私は、
平屋そのものに執着していたわけではない。
平屋が好きだった理由は、
生活が一階で完結すること。
庭に出やすいこと。
犬との暮らしが楽なこと。
老後も階段を使わなくていいこと。
つまり、
欲しいのは、
「平屋」という名前ではなく、
一階だけでも生活できる家。
だった。
だったら、
二階があってもいい。
一階だけで老後も暮らせるようにする
これなら、
かなり折衷できる。
一階に、
LDK。
水回り。
トイレ。
そして、
将来寝室として使える部屋。
これだけあれば、
年を取って階段がきつくなったら、
一階だけで暮らせる。
若いうちは、
二階の仕事部屋や寝室を使う。
必要になったら、
一階生活へ移行する。
「平屋っぽく暮らせる二階建て」
なら、
かなりいい。
階段は猫のものになる
もちろん、
二階建てになると、
階段ができる。
私は、
階段が好きなわけではない。
でも。
猫は、
たぶん好き。
上へ行く。
途中で止まる。
人間を見る。
突然走る。
夜中に運動会。
……。
二階建てになった瞬間、
猫の移動ルートだけは強化される。
総2階の弱点もある
とはいえ。
全部いいわけではない。
まず、
庭とのつながり。
二階にいる時間が長くなると、
どうしても庭から離れる。
犬は一階。
人間は二階。
では、
私が欲しい暮らしとは少し違う。
だから、
私の仕事部屋を二階へ上げるなら、
「日中ずっと二階に閉じこもることになる」
という問題も出てくる。
窓から庭は見える。
でも、
すぐ出られない。
これは結構大きい。
「書斎は窓側」がますます重要になる
だったら。
二階の仕事部屋は、
できるだけ、
景色のいい側へ。
山。
森。
庭。
空。
それが見える窓。
仕事中でも、
外を感じられる。
私はもともと、
書斎は窓側がいい
と思っていた。
二階建てにするなら、
なおさら。
家の奥の、
暗い小部屋に、
仕事机だけ置くのは嫌だった。
吹き抜けは欲しい。でも高くなる
そして、
二階建てになると、
また別の欲望が出てくる。
吹き抜け。
LDKの上を抜く。
薪ストーブ。
高い天井。
大きな窓。
二階から下を見る。
……。
格好いい。
非常に格好いい。
でも。
吹き抜けにすると、
その分、
二階の床が減る。
せっかく総2階にして、
床面積を効率よく取ろうとしたのに。
自分で床を消している。
人間の欲望は、
本当に油断ならない。
建築費を下げるなら「形を単純にする」
この頃から、
私は家の価格について、
少しずつ考え方が変わっていった。
単に、
「何坪ならいくら」
だけではなく。
形。
屋根。
凹凸。
設備。
窓。
吹き抜け。
デッキ。
水回り。
それぞれが、
少しずつコストに乗る。
だったら、
まず建物そのものは、
シンプルな長方形。
そこから、
必要なところだけ、
足す。
これがいいのでは?
と思うようになった。
でも「安いだけの箱」にはしたくない
ただし。
ここも重要。
コストを下げたいからといって、
ただの四角い家にして、
窓は小さい。
デッキなし。
薪ストーブなし。
外とのつながりなし。
それでは、
そもそも移住する意味が薄い。
豊洲のマンションを離れて、
那須まで行く。
だったら、
移住してよかったと思える家
にはしたい。
節約するところと、
残すところ。
その線引きが必要だった。
私が残したかったもの
削りたくないものを、
整理してみる。
まず、
大きなLDK。
ここは、
家の中心。
次に、
庭へ出られる大きな窓。
犬も人も、
ここから外へ出る。
そして、
薪ストーブ。
これはもう、
かなり上位。
さらに、
夫婦それぞれの場所。
ずっと一緒にいるからこそ、
一人になれる場所がいる。
そして、
ゲストを泊められる部屋。
将来、
民泊や人を招くことまで考えるなら、
完全には消したくない。
逆に、削れそうなもの
一方、
削れるものもある。
廊下。
無駄に大きい寝室。
巨大なウォークインクローゼット。
使うか分からない予備室。
全部を一階へ置くこと。
そして、
家の中に、
すべての機能を詰め込むこと。
庭があるなら、
庭を使う。
小屋を作れるなら、
小屋を使う。
物置は、
外でもいい。
家の中だけで完結させなくていい。
ここでも、
栖ログを見て考えたことが、
効いてくる。
自宅+小屋という考え方も出てくる
例えば。
本宅は、
100〜120㎡くらい。
シンプルな二階建て。
そして、
敷地に、
小さな仕事小屋。
薪小屋。
DIY小屋。
それなら、
150㎡の豪華な家を一軒建てるより、
暮らしとして面白いかもしれない。
しかも、
後から増やせる。
一度に全部の建築費を払わなくてもいい。
……。
また、
終わらないプラモデル方式
に戻ってきた。
「完成形」を一度に作らなくてもいい
私は、
新築を建てるなら、
最初から、
理想の全部入り住宅を作らないといけない。
と、
どこかで思っていた。
でも。
別に、
そんなことはない。
最初は、
家。
次に、
庭。
その次に、
小屋。
薪棚。
温室。
宿泊棟。
直売所。
必要になったとき、
必要なものを足す。
そうすれば、
初期費用も抑えられる。
そして、
作る楽しみも残る。
家を小さくすると、土地にお金を回せる
これは、
かなり重要だった。
建物に、
すべてのお金を使ってしまったら。
庭が作れない。
森を整備できない。
フェンスも作れない。
犬のドッグランもない。
薪ストーブも諦める。
外構は後回し。
では、
ちょっと悲しい。
私が欲しいのは、
建物単体ではなく、
家+庭+森の暮らし。
だったら、
家のサイズを少し抑えて、
敷地全体に予算を回したほうが、
満足度が高いかもしれない。
そして「安く建てる方法」を探し始める
こうなると、
次にやることは決まっている。
検索。
家 安く建てる
平屋 総二階 価格差
ローコスト住宅
セルフビルド
基礎だけ業者
内装DIY
……。
はい。
また始まりました。
そしてここから、
アイダ設計のようなローコスト住宅。
セルフビルド。
キットハウス。
基礎と屋根だけプロへ頼む方法。
そんなものまで、
見るようになっていく。
理想の家を「予算の中で作る」段階に入った
それまで私は、
理想を足していた。
薪ストーブ。
書斎。
ゲストルーム。
犬部屋。
庭。
デッキ。
宿泊棟。
足す。
足す。
足す。
でも、
ここで初めて、
削る作業
が始まった。
何を残す?
何を小さくする?
何を後から作る?
何を家の外へ出す?
これは、
夢を諦めるというより、
むしろ、
本当に欲しいものを選ぶ作業
だったと思う。
平屋じゃなくてもいい。
150㎡じゃなくてもいい。
全部一度に完成しなくてもいい。
でも、
森を見ながら仕事ができること。
犬と庭へ出られること。
薪ストーブがあること。
それは、
残したい。
少しずつ、
「理想の家」の輪郭が、
現実の予算の中へ戻ってきた。
そして。
家の形を考えれば考えるほど、
今度は、
建物そのものではなく、
その土地で暮らすルール
が気になり始める。
自治会。
ごみ出し。
地域の付き合い。
田舎暮らしって、
家だけ見て決めていいんだろうか?
次は、
「土地だけじゃない。自治会・ゴミ出し・地域付き合いも気になり始めた」
という話へ続く。
🏠🌲💸


